「真面目にやる」は当たり前じゃなかった。現場監督5年で気づいた仕事の本質

ドラマで見た現場監督への憧れからこの世界に飛び込んだ伊東さん。入社以来、上司から言われ続けてきたのは「真面目にやれば何とかなる」という言葉だった。一見当たり前に聞こえるその言葉の本当の意味を、5年間の現場経験の中で少しずつ理解していった。お客さんや職人さんとの信頼関係を築き、今では後輩育成も担う立場に。「チームというより家族」と語るチームの一員として働く、現場監督の歩みを聞いた。

ドラマで見た憧れが、現場監督を目指すきっかけに

Q:まず、伊東さんが現場監督を目指したきっかけを教えてください。

伊東:昔から現場監督という仕事に対してかっこいいなって思ってました。ドラマやCMで現場監督が出てくるのを見て、「かっこいいな」って。たまたま大学で日本化工機が現場監督を募集していたので応募しました。

Q:最終的に日本化工機に決めた理由は何だったんですか?

伊東:大学の先輩が日本化工機で働いていて「良い会社だよ」と聞いたことが決め手になりましたね。やっぱり実際に働いている人の声は信頼できるので。 入社後は、タンク事業の現場監督として配属され、そこから配管事業も手がけました。

入社1年目、「真面目にやれば何とかなる」と言われ続けた日々

Q:入社後に一緒に働いた上司について教えてください。

伊東:入社してから今の所長がずっと自分の上司でいてくれています。現場が変わってもずっと一緒に仕事をさせてもらってるんですけど、口酸っぱく言われたのは「真面目にやってれば何とかなるよ」ということ。あと「オンとオフの切り替え」ですね。

Q:一見すると「真面目にやる」という言葉だけだと当たり前のように感じますけど当たり前ではないということですよね?

伊東:そうですね。実は真面目にやるって結構難しいと思っています。どうしても人間だから仕事への向き合い方が甘くなってしまったり、気持ちが入らないことがあったり、正直あると思うんですね。でもそこで歯を食いしばって真面目にやっていれば見てくれてる人は見てるし、いつかいいことあるよって言われて。結局「真面目にやる」というのは人が見てないところでも手を抜かないことだと思っています。

Q:上司のマネジメントはどうでしたか?

伊東:優しさに加え良い意味での厳しさがあり、プロ意識を教えてもらいました。厳しいと言っても自分の上司は「気分で厳しくする」とかではなく、自分のためを思って厳しく接してくれました。そういう人ってなかなかいないと思うのでとても感謝してます。

Q:例えば、どんなエピソードが思い浮かびますか?

伊東:例えば材料の発注ミスがあった時のことを思い出します。経験が浅い若手からしたら細かく見える小さな材料一個でも、当たり前ですがお金がかかっています。そのため「小さな材料1個でもお客さんの信頼に大きく影響するよ」ということを教えてもらいました。 あと、現場で談笑していた時があったのですが「今はそういう時じゃないよ」と言われてはっとしました。建設現場は危険が伴いますし緊張感が必要な場面も多々あります。常にというわけではないですが、緊張感を持つべき場面では切り替えるように言われ、プロとしての意識を教えてもらいました。

自ら動いてお客さんとの信頼を築く

Q:これまでで一番大変だった仕事を教えてください。

伊東:ある現場でメンテナンスの仕事をやらせてもらった時ですね。それまで自分の仕事は定修工事とか、工程が決まってる仕事でした。「明日はこの作業、明後日はこの作業」という形で工程通りに進めていれば問題なかった。でもメンテナンスの仕事は「じゃあこの配管お願い、この設備もお願い、あっちもお願い」と次々に様々な依頼が飛んで来る。毎日違う作業をこなさなければならない。そのため「この作業がこれくらいで終わるから次の現場に入れて。終わり次第こっちの案件を入れる。」といった段取りが重要なんです。

Q:それまでとは全然違う仕事だったんですね。

伊東:はい。初めてのメンテナンス業務だったので、最初は本当に何もできない状態から始まって。覚えるのに大変でした。頭がパンクするぐらい、「ああもう」という感じで(笑)。

Q:どのように対応していったのですか?

伊東:工夫したのは、細々依頼を受けるのではなく仕事をまとめること。そのためにはお客さんから依頼が来るのを待つのではなく自分から動くことが重要です。自分からお客さんに「この設備の改修についてまとめて一度説明をお聞きしたいです」といったことを伝える。そしてある程度まとめて説明をしてもらい、一気に材料を発注するようにする。そうすれば手間が省けるし、自分が工程の主導権を握って動けるんです。 これは上司のやり方を見て学んだことですね。

Q:でも若手のうちから、お客さんに自分から働きかけるって、結構ハードル高くないですか?

伊東:難しかったです。お客さんから言われて動くのは当たり前のことで。でも、こちらから「この日にこの工事をやらせてほしい」「工程が詰まってるのでこの日に入らせてほしい」と要求をするのはお客さんとの信頼関係があってこそですから。 ただ、こちらから働きかけるようになったことで「ああ、この人工程をしっかり考えて動いてるんだな」「この人は仕事の段取りがわかってるな」と思ってもらえるようになった気がしてますし、良かったですね。

「伊東くんに頼んで良かった」お客さんと職人さんに認められた瞬間

Q:お客さんから言われて、特に嬉しかった言葉はありますか?

伊東:ある現場で「自分はこの配管ルートでいったほうがいいと思うんですけど、施工できそうですか」と職人さんに聞いたら「できるよ、お前が言うならやってやるよ」と言ってもらえて。 結果うまくいってお客さんから「伊東くんに頼んでよかった。伊東くんに任せれば仕事も安心。信頼できるし、ちゃんとしたものを作ってもらえる」って言われてすごく嬉しかったですね。

Q:職人さんからも学ぶことが多かった?

伊東:はい。一緒に仕事をしている職人さんはプライドを持ってやってる方なんです。配管を組むにしても、少しでも曲がっていたり見栄えが悪いのを嫌う方です。「やるからにはしっかりやろう」「中途半端にやるんだったら最初からやらない」っていう姿勢の人でした。

Q:具体的には、どのようなところにこだわるんですか?

伊東:例えば配管のフランジ(接続部品)をつける時も、角度がしっかり合ってないと無理に力をかけてついてる状態になるんです。それが後で外す時に勢いよく跳ねちゃったりとか。しっかり正確に施工すると、見栄えが全然違うんですよね。 お客さんから「すごい綺麗だね」「良い配管組んだね」って言われた時の達成感は、今でも忘れられないです。そういう面でも、その職人さんには成長させてもらったなって思います。

後輩を育てる立場へ。「自分がしてもらったことを、次に繋げたい」

Q:今のチーム構成を教えてください。

伊東:所長と先輩、自分と後輩の4人ですね。あとは協力会社の職人さんが数人います。先輩と自分で2班に分かれて工事をやってて、後輩は自分のところについて、教えながら一緒に仕事をしてます。

Q:後輩育成を自分から希望していたと聞きましたが、それはなぜですか?

伊東:はい。自分も後輩が欲しかったんです。後輩に教えることで自ずと自分自身も成長できるかなって思って。所長にその話をしたら育成を担当することになりました。 やっぱり自分が入社してそういう風に育ててもらったから。単純に、自分もしてもらったことをしてあげたい、繋げていきたいっていう、ただそれだけですね。

「家族のように本音で話せる関係」がこのチームで働く理由

Q:チームの雰囲気はどうですか?

伊東:みんなよく喋ります。事務所にいたらずっと話してますね。チームとしてコミュニケーションがうまくいっているので「じゃあ今日自分空いてるから手伝いますよ」とか、「明日の現場、俺が見とくから休んでいいよ」といった助け合いができる。人数は少ないですけど、協力性があって。現場の雰囲気も明るいし、すごく楽しいですね、毎日。

Q:人間関係で気まずくなったりとか、そういうのはないんですか?

伊東:全然ないですね。

Q:それって、なかなか珍しいと思うんですけど。何か理由があるんですか?

伊東:おそらくですけど、所長の「こういう風に仕事しよう、こういう風にコミュニケーション取ろう」っていう方針に、自分たちが共感しているからだと思います。先輩も後輩も全員が同じ方向を向いてるからこういう風になってるんじゃないかなって。 所長は「チームというより家族」って言ってます。やっぱり自分の家族より長い時間過ごしてる人たちなんで。「うち等家族だから」って。お互いに言えないこともないし、隠し事もないですね。

Q:仕事仲間が「家族」のようというのは令和では珍しいと思いますがどうですか?

伊東:自分たちは家族のようだと思ってますし、上司がそう言ってくれてるなら、自分たちもそれに応えなきゃいけないと思ってます。言葉だけじゃなくて、本当にそういう関係性だと感じてるから、受け入れられるんだと思います。

全員が一体感を持てる会社にしたい

Q:会社の好きなところはどのようなところですか?

伊東:知らない人がいないし仲が良いところですね。コミュニケーションを取ったり、仕事以外で一緒にご飯行ったり遊んだり、野球をやったりゴルフをやったり。そういうのができるのが魅力ですね。あと、何より明るい人が多いです。

Q:今後、どのような会社にしていきたいですか?

伊東:より一体感を出していきたいですね。全員が同じ方向を向く会社でありたい。例えば忘年会とかの集まり事があった時に、全社員が楽しみに参加できる会社になったら最高だなって思いますね。そこまで一体感が持てる会社ってなかなかないと思うので。

目の前の仕事を当たり前にやる。それが信頼につながる

Q:最後に、仕事への思いを聞かせてください。

伊東:自分的には、そんなに自分が仕事できる人間だと思ってないです。自分の中では目の前の仕事を当たり前にやってるだけです。 でもその当たり前にやってることが、お客さんの信頼を得たり「この人に任せとけばちゃんとした仕事をしてくれるな」って思ってもらえる。それが、仕事を真面目にやるというのに繋がるのかなって思います。 今の自分があるのは、上司や仲間や顧客のおかげ。職人さんにも色々育てられたと思ってます。真面目にやっていれば、見てくれる人は見てる。日の目を見る——その言葉を信じて、これからも頑張っていきたいですね。